禁煙外来でどんな治療をするの?

禁煙外来では、医師の指導のもとで計画的に禁煙を進めるため、さまざまな治療が行われます。治療は、薬物療法やカウンセリングなどの総合的なアプローチで行われ、禁煙成功率を高めることを目指しています。以下に、禁煙外来での具体的な治療内容を解説します。


  1. 初回診察でのニコチン依存度チェック
    • 禁煙外来では最初に、ニコチン依存度を診断するための簡易テスト(FTND:ニコチン依存度テスト)を実施します。喫煙本数や喫煙習慣についての質問に答えることで、医師が患者の依存度を評価します。この結果を基に、適切な治療計画が立てられます。
  2. 禁煙治療計画の立案
    • 依存度の診断後、医師と患者が相談して禁煙の目標やスケジュールを決めます。治療は通常12週間(約3か月)続き、合計5回の診察を受ける形で進行します。この期間で、薬物療法やカウンセリングを通じて計画的に禁煙を進めます。
  3. 薬物療法(ニコチンパッチや内服薬)
    • 医師の処方により、禁煙をサポートする薬が提供されます。主に使用される薬は以下の通りです。
      1. ニコチンパッチ: 皮膚に貼り、ニコチンを徐々に吸収させることで禁断症状を軽減します。
      2. 内服薬(バレニクリン・チャンピックス): ニコチンを含まず、脳内のニコチン受容体に作用して喫煙欲求を抑えます。
      3. ニコチンガムや吸入器: 自分のタイミングでニコチンを摂取し、喫煙欲求が強まったときに対応します。
  4. 禁断症状の管理
    • 禁煙中に発生する禁断症状(イライラ、集中力低下、食欲増進など)を薬物療法で緩和します。薬の使用に加え、医師やカウンセラーから禁断症状への対処法やストレス管理の方法が指導されます。
  5. カウンセリングと心理的サポート
    • 禁煙外来では、禁煙中の心理的な不安やストレスを和らげるため、カウンセリングが行われます。喫煙習慣の背景にあるストレスや心理的依存を理解し、適切に対処するためのアドバイスが提供されます。行動療法やリラクゼーション法も併用されることがあります。
  6. 定期的なフォローアップ診察
    • 診察は合計5回行われ、治療中の進行状況を確認します。禁煙が順調に進んでいるか、禁断症状がどの程度であるかを確認し、必要に応じて薬の量や種類を調整します。毎回、医師と禁煙の進捗状況を共有することで、モチベーションを維持しやすくなります。
  7. 禁煙初期のサポート強化
    • 禁煙外来では、禁煙開始後の1〜2週間が最も重要な時期とされています。この時期に、強い喫煙欲求や禁断症状が現れることが多いため、特にサポートが強化されます。薬の効果や禁断症状の進捗を詳細に観察し、必要な調整を行います。
  8. 禁煙後のリバウンド防止策
    • 禁煙が成功した後も、再喫煙を防ぐための指導が行われます。再度の喫煙を防ぐための生活習慣改善や、喫煙を誘発する状況を回避するための対策をアドバイスします。また、禁煙後のストレスや習慣の変化にも対応できるよう、具体的な指導が行われます。
  9. 成功率の向上
    • 薬物療法とカウンセリングを併用した禁煙外来の治療は、自己流の禁煙に比べて高い成功率を誇ります。1年間の禁煙成功率は約50%とされており、特に初めて禁煙に挑戦する人や、自己禁煙に失敗した人に効果的です。
  10. 費用負担についての説明
    • 保険適用を受けた場合、禁煙外来の治療費は3割負担となり、12週間の治療全体で約12,000〜20,000円の費用がかかります。医師からは、費用や治療の進め方についての説明も行われます。
  11. 禁煙外来の終了後のフォロー
    • 12週間の治療が終了した後も、禁煙を継続するためのアドバイスが提供されます。必要であれば、追加の診察やカウンセリングを受けることも可能です。禁煙成功後も、リバウンドを防ぐための長期的なフォローが重要です。

禁煙外来では、ニコチン依存症に対する薬物療法と心理的サポートを組み合わせた治療が行われ、成功率が高いです。禁断症状への対応や再喫煙防止策も含めて、総合的なサポートが提供されるため、安心して治療を進めることができます。